周辺環境に溶け込む住宅を目指して/荒木田の風景



Story

前方に白山連邦を望む田園地帯というとても贅沢な敷地に建つ住宅です。
この展望をいかに内部に取り入れるか、その中で風景になじむ外観デザイン、施主が望む家事動線の確保が設計の重要なテーマとして設けられました。
四季に応じて移り変わる風景の中、建築がその中でどのような振る舞い方をすべきかを考え計画を行なっていきました。



風景に溶け込む住宅を

敷地は山々の景色を背景に持つ田園風景の中にあります。
この環境の中に新たな建物を建てることで、今ある風景を乱してしまうと哀しい。
どこかこの景色の中に溶け込んでいくような建物は造れないものかと検討を重ねていきました。
具体的には、建物は山並みの稜線に合わせ横に長くこと。また、その構成が単調にならぬように、 長方形のヴォリュームを上下階でずらし、リズムを与えた。

色合いも土に近い色を採用していくことで、風景に溶け込んでいく建物を目指し計画を行なっていきました。

平面計画と家事動線について

年中光が射し込む南 面の窓には深い軒を設置し、室内への光量を季節ごとにコントロールしています。 リビングには壁に引き込み全開する大きな木製建具を設置し、その正面、景色に 向かう特等席にキッチンを設置しました。
せっかくの特等席、物が溢れすぎるのでは 悲しいので、出来る限り裏手に隠せるようキッチン専用の収納スペースを計画し、 冷蔵庫、食器棚等はキッチンの脇にひっそりと隠しています。
この隠れた収納スペースはシューズクロークを通り玄関へと繋がり、家事動線と しても便利に機能しています。

リビングに設置した開口部は、風景を邪魔しないよう建具を開けるとすっぽりと壁に収まるよう計画し。
広い縁側が外部と内部の一体性を生み出しています。

周辺環境の持つデザインコードを意識した建物のあり方・色彩、そして住宅の持 つ機能性の両立を強く考えさせられた住宅であり、お施主様には、一年を通して移り変わる季節を心から楽しんでいただいています。




Photo by Kazuto Nishi