石蔵から住宅へのリノベーション/築100年の石蔵を住宅に

Story

築100年の農業用倉庫を解体して新築住宅をと言う要望を受けました。
敷地に行くと、増改築を重ねた日華石を外壁に施した古い倉庫が。
新築をとのご要望でしたので何案かの新築住宅での提案をさせていただきましたが、ご要望と予算とがうまくまとまりません。
思い切ってこの住宅をリノベーションしてはいかがかと案を練り提案させていただいたのが完成した建物になります。
古き良き空間を生かしながら新たな住宅の可能性を模索したプロジェクトになります。

改修前の石倉の様子
建設当初より何度か増築された外観

減築から再生へ

蔵を生かした住宅を建てると言っても住宅スケールとしては大きすぎたため、必要に応じ建物を取り壊しながら計画を進めていきました。
この蔵は建設当初より何度かの増築工事が行われていたため、室内空間は建設当初に定めたボリュームに絞り、増築されたエリアをポーチと中庭の外部空間として構成していくことを決めました。
減築することで建物の軽量化も行うことができ、安全性の向上にもつながる。

減築の検討模型。増築されたエリアを解体し、そのエリアをポーチと中庭空間に活用していく。
建物の既存写真。空間の特性を探ると同時に、建物の構成を紐解いていく。

内部空間の特性をいかす

木造軸組は貫・トラス工法により大空間を実現しており、その空間の持つ迫力をそのままに表現しながら生まれる空間の魅力を求め計画を行なっていきました。
結果的に生まれる空間は新築では得られなかったであろう力強さを持った空間へと生まれ変えることができました。

既存平面図

新規1階平面図

新規2階平面図

緑:内部空間を外部、軒下空間へ 青:内部空間をバッファーゾーンへ 赤:生活空間へ

外部との中間領域としてのインナーテラス

必要所室はできる限り内部空間の隅に寄せ、室内には玄関からの通り土間も兼ねる広いインナーテラスを作り出しています。このインナーテラスは内外のバッファーゾンとして機能し、1FLにあるLDKを中心とした室内環境を快適に守りつづけます。

2階に広がるライブラリー(フリースペース)

2階に広がるライブラリースペースには、大きなデスクを兼ねたガラステーブルを設置し1FLのリビング空間からも既存の屋根を支えるトラス架構が見渡すことができ、楽しい室内からの見上げ空間を作っています。