RCと木造の混構造の住宅/木の下のマテリアル




Story

沖縄県沖縄市に計画した住宅です。
施主の要望は、明るく、家族がつながるリビング空間を確保すること。また、沖縄の風土にあった建築を建てること。
敷地は沖縄市の繁華街の中にあります。とても利便性が高いと同時に東面にはマンションが建つ環境です。
この環境の中で明るく楽しい住宅を目指し、施主との二人三脚での設計活動が始まっていきました。


沖縄の建築物

近年は木造住宅も増えてきていますが、計画時は沖縄の建築物はコンクリート造で築かれたものが圧倒的に多く、全体の9割を超えていました。
大型の台風の存在はその一因ですが、高温多湿の環境の中、この地域の暑さから生活を守るという点においては、コンクリート造の選択は十分な回答ではないと考えられました。また、計画時は東日本大震災の時期と重なり、コンクリート、鉄筋の建設資材の高騰が著しく高騰していた時期。
その中で、まだまだ資材価格が安定していた木を使った建築を考えていくこととなりました。


混構造での建築

本計画では、1階をコンクリート造、2階を木造で建物を構成することでコンクリートの持つ剛性と木のもつ断熱・調湿・柔軟性、違う素材の特性を巧く混ぜ合わせてあげる(チャンプルーしてあげる)事で、過酷な環境の中でも、十分に、またポジティブに快適な室内環境を形成する事が出来ると考え、計画を行いました。
木造部の2階の空間は大黒柱を中心としたシンプルでバランスの良い平・断面計画とする事で、多くの開口部を確保しつつも、木造部のコンクリートに劣る剛性を高めています。
1階のコンクリートは積極的に打放し仕上げとすることで素材感を高め、また、2階天井は木の現し仕上げとすることで、硬質な空間に木の持つ軽やかさや柔らかさが栄えています。

環境計画

木造部は外壁・屋根通気を確保し、断熱材、空気の層が過酷な環境から室内の生活環境を守ります。屋根からの日射熱の侵入が圧倒的に多いコンクリート造も、混構造とし上部を木質空間で構成する事で、日射熱の室内への侵入を大幅に和らげられますし、熱せられた空気は上昇気流を生み2階で排熱されます。2階の開口部は自然な通風を促すよう積極的に開口部を、特に建物の出隅部に設けています。
この地の持つ自然環境を受け入れながらも素材特性を生かしたパッシブな環境計画を作ることで、この住宅は快適な室内環境が形成されています。


Photo by Kazuto Nishi